「何人(なんびと)も彼を追い越すことはできない。彼の前を走ることができるのは、彼の影だけだ」
1965年、フライング・スコット(空飛ぶスコットランド人)の異名を持つ世紀の天才レーサー・ジム・クラークの偉業を讃えたロータスの創始者コーリン・チャップマンの言葉だ。
とくに1965年はジム・クラークとロータスがレース界を席巻。F1では欠場した第2戦モナコGPを除き、開幕戦南アフリカGPから第7戦ドイツGPまで全てのレースで優勝する驚異的な成績だった。
彼のレースは、1周目から後続を引き離して独走優勝するという先行逃げ切り型だった。だからスタートからゴールまで、ジムの前を誰も走ることはできなかった。
R.C.Sにも、「何人も彼を追い越すことはできない」スーパーライダーがいる。彼の場合は昨シーズンにおいて、全12戦のうち12回の優勝という完全制覇を成し遂げてしまった。
その空飛ぶR.C.Sこそ、かわさきしんたろう選手(Team Kamikaze Kids)である。ちなみに彼は2015年第1戦6歳決勝、さらに今年から新設したOPENでも優勝しているので、全勝記録はさらに2つ加わって14連勝となっている。
ジム・クラークが先行逃げ切りだったのと同様、しんたろう選手もその勝ちパターンは先行逃げ切り型である。
今日もまた、12番グリッドの大外枠から飛び出したしんたろう選手は、わずか15メートルほどで隣りの11番グリッドからスタートしたふるばやししょうま選手(Team Kamikaze Kids)を、早くも1バイクの差を付けていた。
直線を終えると、コースは緩く昇りながらの右20Rのカーブから細長いS字を描く左20Rの第2コーナー、そしていきなり左ヘアピンカーブとなる。さらにダウンヒルで下降しながら右、左のWヘアピンが待っている。とくにこのWヘアピンは交互に昇り傾斜、下り傾斜となっているので、体力的にもかなり消耗するポイントだ。
そこをトップで駆け抜けたのは、やはりしんたろう選手である。そして5~6バイクの差で、2番手はしょうま選手。しょうま選手から5~6バイク離れて3番手にはおかむらりお選手が続き、その差を保ったままトップの3選手は最終の直線になだれこんでいった。
レースはこの順番でゴール。優勝はかわさきしんたろう選手、2位にふるばやししょうま選手、3位はおかむらりお選手(LINO KEIKI)となった。
熾烈な争いを展開したのは、4番手のゆあさこうたろう選手(LINE4)、5番手のかきぎゆうしん選手(相模原Team Rust-eze)だった。このふたりの争いはゴール手前までまったくの並走で、結局わずかの差で4位にゆあさこうたろう選手、5位にかきぎゆうしん選手となった。