この前の4歳決勝レースで、スターティンググリッドに並んだ各選手たちの影法師は、かなり長くサーキットの上に伸びていた。そして5歳決勝を迎えた今、その影法師は文字どおりすっかり影を潜め、周囲には夕闇が忍び寄っていた。
最初にコールされたみやうちたすく選手(FICUS RACING)は、迷わずインコースの1番グリッドを選択した。そして昨年2009年の部でシリーズ優勝したいけがみりょうま選手(Ichi 2 Thunders)はたすく選手から1枠空けて3番グリッドに入った。
その空いた2番グリッドには、昨年のシリーズ第2位だったたかしまこうしろう選手が、たすく選手、りょうま選手の間に割って入った。また前回2014年第12戦優勝のたかひらりいち選手(LINO KEIKI)は、インでもアウトでもないド真ん中の6番グリッドを選択。
こうしてそれぞれの想いを秘めて、各選手は磨いてきたその技と鍛え上げた精神を武器として、今年最初のサーキットに立ち向かうのだった。
スタート直後は、ほぼ横一線だった。そのせめぎ合いは40メートルの直線の最後まで続く。そうなると第1コーナーは左に振られることから、インコースが断然有利になる。そして3番グリッドからスタートして、半バイクほど先行していたりょうま選手がトップで第1コーナーのCP(クリッピング・ポイント)をクリア。続いてクランク状に右第2カーブも先頭でCPを取ると、2番手のたすく選手に2バイクの差をつけて最初のWヘアピンに突入する。
最初のWヘアピンを通過した時点で、トップのりょうま選手と2番手のたすく選手の差は約3バイクに開く。たすく選手を1バイクで追うのが3番手のひがしかずや選手(TEAM RIVER)だった。
「?マーク」状の3つのコーナーを通過し、いよいよレースは終盤のWヘアピンカーブへ入る。2つ目のヘアピンをクリアした時点で、トップは4バイクの差をつけてりょうま選手、2番手たすく選手、3番手かずや選手も変わらずテール・ツー・ノーズでヘアピンをクリア。その直後に第1コーナー7番手の位置から4番手まで順位を上げてきていたりいち選手だった。まさに2、3、4番手の3選手がひとつの塊となって、最終の直線に突入していった。
ゴールまでの直線は約30メートル。トップのいけがみりょうま選手はその差をさらに広げながらゴールイン。
そしてヘアピンを曲がった時点でダンゴ状態だった3選手も、最終の直線30メートルではドラマも起きず、2位にみやうちたすく選手、3位にひがしかずや選手、そして4位にたかひらりいち選手の順位のままゴールした。