昨年2012年の部のシリーズチャンピオンは5戦に出場し、着実にポイントをゲットしたとみやまつばき選手(Free&Loose Kids With SPARK community)だった。しかもつばき選手はガールズライダーでもある。そのつばき選手は、5番グリッドからのスタートを選択する。
一方、予選1組を1位で勝ち進んだなかもとそら選手(gravy)、2組1位のしばたいっしん選手(フリー)、さらに1組2位のたにやまあいと選手(フリー)の3選手はスターティンググリッドほぼ中央の6、7、8番グリッドを選んでいた。
スタート直後は8番グリッドのあいと選手が先行。続いて6番グリッドのそら選手、さらに5番グリッドからつばき選手が2選手の後を追う。
アクシデントがあったのは第1コーナー左100度角の手前だった。
5~6番手に付けていたますだひろと選手(☆DREAM☆STARs☆)が前車の後部に接触、ハンドルをとられて転倒した。後続の選手は巧みにかわしてさらなる事故は回避できた。
その間、トップ争いに変化があった。第2コーナーは右ヘアピン状に折れ曲がるカーブだが、トップを走るあいと選手がここで大きく膨らんだのだ。すかさずそのインを突いたそら選手が、ここでトップを奪い取った。
その後、ギアを一段上げたそら選手は、さらに加速。次の第3コーナー左ヘアピンコーナーで、2番手のあいと選手を5バイク半、さらにその差を広げるように第4コーナー左90度Rをクリアしていった。
むしろ熾烈な戦いを繰り広げていたのは、3番手争いだった。それまで3番手を走っていたつばき選手の背後に迫っていたいっしん選手が第3コーナー左ヘアピンコーナーでついにつばき選手を捉え、さらに抜いたのである。
その後もいっしん選手とつばき選手の争いは第4コーナー左90度R、さらにはゴール前の直線にまでもつれこんだが、結局順位が変わることはなかった。
優勝はなかもとそら選手、2位にたにやまあいと選手、3位がしばたいっしん選手となった。
そして今年、我々は開始されたばかりの2015年R.C.S第1戦最年少の2歳決勝において、最も美しいシーンを目撃した。スタート直後、第1コーナーの手前で転倒したますだひろと選手が自ら起き上がり、そしてふたたび疾走を開始したことである。
観戦者たちの応援の声と励ましの拍手の音が会場に鳴り響いた。それは強く、逞しいR.C.Sの仲間が、またひとり増えたことを祝うR.C.S流の儀式でもあった。
いまあらためて、R.C.Sは誇りに思う! シリーズを開催してから3年経ったいまもなお、RCSサーキットのステージで強く、逞しい選手が新たに誕生していることを……。