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第6戦全日本選手権大会レポート


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「富士には月見草が良く似合う」といったのは、作家・太宰治である。標高3776mは、神々が座す日本一の霊峰。その昔、あまりにも神々しい富士の雄姿に圧倒された著名な作家は、可憐な美しさの月見草をソッと添えてみたのだろう。

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その霊峰・富士のお膝元、御殿場の裾野にレーシング・マシンの咆哮が轟いたのは、1966年(昭和41年)3月27日のことだった。この日に行われた富士スピードウェイ4輪の開業イベント「第4回クラブマンレース富士大会」で、当時F1世界チャンピオンだったジム・クラークが、デモンストレーション走行をし、富士スピードウェイの歴史に幕を開けたのだった。

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時を経て2013年6月2日、ランバイクで疾走するR.C.S選手たちの勇姿が、霊峰・富士の前に立った。富士スピードウェイの歴史に、新しい風を巻き起こした瞬間である。そのレースの聖地で開催されるこのR.C.S第6ラウンドを、われわれは『全日本選手権』と名づけた。

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R.C.S第6戦『全日本選手権』ラウンドのコースはまさに、富士スピードウェイの国際レーシングコースを模したレイアウトに設定されていた。ロングコースの全長が約350m、ショートコースが約220mの高速テクニカルコースとなっている。
そして今回は2歳クラスの全レース、3歳クラスは決勝以外、4歳クラス以上の予選・敗者復活戦はショートコースを使用した。

この日、ランバイクを駆る選手たちの熱き咆哮は『全日本選手権』の名に相応しく、富士の存在感に真向から挑んでいった。たしかに圧倒的な富士の存在感に立ち向かえるのは、ランバイクで疾走する若き英雄たちだけなのかもしれない。
「富士にはRCS『全日本選手権』が良く似合う」……?!

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シグナル・オンでスタートよく飛び出したのはやまがみ ゆうご選手。第一コーナも1番手をキープして、第2コーナーへと向かう。

このとき1番グリッドから出遅れてスタートしたのざき ひゅうが選手が、素晴らしい加速を見せて1コーナーを2位で通過。コーナー立ち上がりからさらに加速してゆうご選手をパス。首位にたった。

その後、ひゅうが選手とゆうご選手のデッド・ヒートはゴールまで続き、この一騎打ちはひゅうが選手が最後まで首位を譲ることなく勝利をおさめた。

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優勝はのざき ひゅうが選手、準優勝がやまがみ ゆうご選手、そして第3位にのむら そうたろう選手という結果だった。

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▲優勝 のざき ひゅうが選手(TEAM RIVER)

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▲準優勝 やまがみ ゆうご選手(アッチェレランド)

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▲3位 のむら そうたろう選手(フリー)

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スタートから飛び出したのがいけがみ りょうま選手ととやま ゆうだい選手。第一コーナでインをとったのはゆうだい選手。それを外側からかぶせるようにりょうま選手が並ぶ。

第一コーナーを抜け出たのはわずかにりょうま選手が速かった。そのあとりょうま選手は急加速に成功。第二コーナーへの直線を完全に制し、およそバイク4台分の大きな差をつけて2、3、4コーナーを独走。

複合360°湾曲カーブを回ったときには2番手のゆうだい選手にバイク5~6台分の大差となり、すでに勝敗は決してしまった。また2番手以降も最終コーナーを回る前に、バイク10台以上の大差がついてしまい、1位、2位の順位はこの時点で確定してしまった。

熾烈だったのは、3、4位争い。ほぼ同時に最終コーナーを回ったわだ おうすけ選手とひがし かずや選手は、最終の直線で大バトルを展開。同着ということになり、R.C.S史上初の3位を2選手で分け合うことになった。

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優勝はいけがみ りょうま選手、2位がとやま ゆうだい選手、そして3位がわだ おうすけ選手とひがし かずや選手という結果となった。
3歳クラスにおけるR.C.S日本選手権初代チャンピオンはいけがみ りょうま選手が勝ち取った!

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▲優勝 いけがみ りょうま選手(Ichi 2 Thunders)

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▲準優勝 とやま ゆうだい選手(宝Jr.)

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▲3位 ひがし かずや選手(フリー)

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▲3位 わだ おうすけ選手(TEAM VIT)

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スタート前から最高潮にヒートアップしていた各選手は、シグナル・ゴーの瞬間に溜めていたエネルギーを一気に炸裂させた。弾けたエネルギーの衝撃は、スタート直後の選手をも弾いてしまった。立て続けに3人の選手が落車してしまったのだ。

それほどこのレースには、各選手の思いが込められていたのだった。その思いの矛先は、たった一人の選手に向けられたものなのである。不出場だった第2ラウンドを除いて、R.C.Sの各ラウンドですべてを優勝で飾ってきたかわさき しんたろう選手の存在だった。

このしんたろう選手の対抗馬として名を連ねていたふるばやししょうま選手、こさかまさと選手は今大会から5歳へとクラスアップしてしまい、事実上、4歳クラスではもはや敵無しの状況と多くの人たちは見ていた。だが、他の選手たちにも、意地があった。その意地が、スタート直後に炸裂したのである。

ところがしんたろう選手は、そんな各選手たちの意地も思いも、置き去りにしていく。第一コーナーからすでに独走状態を築きあげていった。しんたろう選手が第二コーナーを回るころには、すでに2番手のまつやま かいじ選手にバイク5台の差をつけて、またもや完全勝利。4歳クラスの日本選手権初代チャンピオンの栄冠を手にした。

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2位には最後まで懸命にしんたろう選手の姿を追ったまつやま かいじ選手、そしてこの二人には差をつけられたものの、熾烈な3位争いを制したいとう はやと選手、一歩およばなかったあかほり たくみ選手が4位に入賞した。

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▲優勝 かわさき しんたろう選手(Team Kamikaze Kids)

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▲準優勝 まつやま かいじ選手(煌ライダーズ)

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▲3位 いとう はやと選手(green leaves)

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客観的に見て、レースの面白味ということで言えば、これが本日のハイライトとなるだろう。最後の最後で大ドンデン返しが待っている、そんなハラハラドキドキの5歳クラス決勝レースだった。

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スタート直後の直線を制したのはおおひら たくま選手。続いてせきやま りく選手、そして3番手にもりやま ゆうき選手が第2コーナーへ向かう。右へ湾曲する第3コーナーで2番手のりく選手を抜いたあと、ゆうき選手が追うのはバイク3台ほど前を走る
たくま選手だけとなった。

最終のヘアピンコーナーを回ったところで、1番手のたくま選手と2番手のゆうき選手の差はバイク1台半。そして、勝負は最後の直線にかける。

直線に入って、たくま選手も最後のダッシュをかける。ターボも効いて、ゆうき選手との差も縮まらない。

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と、その時、たくま選手が後続のゆうき選手の姿を確認しようと、首を左側に振った。その動作が、勝敗を分けた! ゆうき選手の姿は、そこになかったのだ。

ゆうき選手はたくま選手の右側に位置していたのである。左後方を確認してゆうき選手の姿がなかったことに安堵したのか、たくま選手に一瞬の油断が生じた。蹴る足が緩んでしまったのだ。

その隙を見逃さなかったゆうき選手は、一気にたくま選手の右隣りに身を寄せる。そこでゆうき選手の存在に気付いたたくま選手だったが、すでに加速力が違っていた。

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ゴール前、車輪半分の差でゴールしたゆうき選手に、観客が大喝采で迎えた。それほど手に汗握る、白熱したレース内容だったのだ。
優勝はもりやま ゆうき選手、第2位はおおひら たくま選手、そして第3位にせきやま りく選手だった。

白熱した戦いが終り、大人たちはこの勝者に、忘れかけていた大切な物を教えてもらった。思い出して欲しい。前々回の第4戦TAMAラウンドでのもりやま ゆうき選手の姿を……。

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堂々の準優勝に輝きながらも、悔し泣きでゴールしたゆうき選手。レポーターも思わず、
「泣くな、ゆうき選手。大事なのは、次の大会だ」
と、誌面につづってしまったほど、それはあまりに印象深かった。

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ゆうき選手にとって、前回YOKOHAMAラウンドも雪辱を果たすべく大会だったが、ここでも惜敗して、再び2位に甘んじてしまう。
そして今回のレースは彼にとっての背水の陣であり、しかも日本選手権がかかった大舞台でもある。まさに正念場。彼の、彼による、彼のためのリベンジ・ラウンドだったのだ。
「最後の最後まで、諦めない」。そのことを成し遂げたことで、このレースの勝者・もりやま ゆうき選手はいま、霊峰・富士よりも高い表彰台に昇る資格を得たに違いない。

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R.C.S日本選手権5歳クラスの優勝者に、皆井運営委員から紅いウィーナーズ・ジャケットが着せられると、口笛、指笛が響き渡った。
そして、
「おめでとう」
の、祝福の言葉が飛び交う中、いかにも誇らし気に5歳クラスの優勝カップを高々とかかげるもりやま ゆうき選手。
そう、胸を張れッ! 最後まであきらめずに走りきった、君が全日本5歳クラスのチャンピオンだ。

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▲優勝 もりやま ゆうき選手(Team Kamikaze Kids)

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▲準優勝 おおひら たくま選手(宝Jr.)

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▲3位 せきやま りく選手(宝Jr.)

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因縁といえば、このクラスもまた前回YOKOHAMAラウンド、前々回TAMAラウンドからの因縁を引き摺っている興味深い一戦だった。

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TAMAラウンドでは終始圧倒する速さを見せたしげむら しせ選手のウィニングスピーチ。
「次のYOKOHAMAラウンドも頑張ります。その次、富士スピードウェイも、優勝します」
そしてまさに、有言実行。しせ選手は前回のYOKOHAMAラウンドにおいて、その言葉通り5歳クラスからランクアップしたOPENクラスで成し遂げてしまったのである。それもゴール直前の大逆転を果たしたのだ。

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これに対して治まらないのが、OPENクラスの王者だったとべ はやと選手だった。9割がた手中にしていたYOKOHAMAラウンドの勝利が、スルリと掌からこぼれ落ちたのである。しかも先月までは1クラス下の5歳クラスで走っていた、いわば新参者に王座を奪われたかたちになったのだから、これは穏やかではなかったはずだ。

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第一コーナから果敢に飛び出していったのは、とべ はやと選手だった。2番手にしばた りく選手、そして3番手にしげむら しせ選手と続く。
この1、2、3番手はその流れのまま最終コーナーまで続き、コーナーを回りきったところではやと選手がダッシュ。今回は脇目もふらず、ゴールまでの直線をウィニングロードにしてしまった。

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熾烈だったのが、2、3番手争い。最終コーナーまではしばた りく選手が2番手をキープしていたのだが、最終の直線に入ってしせ選手が得意の追い込みをかける。ツインターボが装着されているのではないか、と思わせるような鋭い加速が開始される。前回の優勝をもぎ取ったラストスパートを彷彿とさせる驚異的な加速力に、りく選手も取り込まれてしまった。

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優勝はとべ はやと選手、第2位にしげむら しせ選手、そして第3位にしばた りく選手となった。OPENクラスの先輩として、日本選手権チャンピオンの座は渡せない、というはやと選手の意地を見せたレースだった。

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▲優勝 とべ はやと選手(Clover☆s)

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▲準優勝 しげむら しせ選手(Ichi 2 Thunders)

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▲3位 しばた りく選手(SEALs)

【テクニック・コーナー】
大会の翌日、両角プロカメラマンから、貴重な資料が届いた。写真整理に追われている最中、忙しいのにありがたい話である。
「昨日面白い写真が撮れたので、お見せします。
またまた衝撃的なテクニックですよ、どうなってるんだ子供達の身体能力は!」
との添え書きにもあるように、恐ろしいテクニックの登場である。

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その昔、GPライダー・片山敬済を彷彿とさせるライディングである。

この勢いでは、GPライダーと同じように、
ニープロテクターも必需、ということになりかねない。

チームとしてテクニックを磨いているのか、
子供たちが独自に研究しているのか、
あるいは偶然なのか、

いずれにしても次のラウンドからは、
この走りが定着するようになるのだろう。

「タックイン」ばかりでなく、
このようなテクニックが日常のように繰り広げられたら、
近々、大人は着いて行けなくなってしまいそう。
……いや、認めたくないだけで、すでに彼らの方がテクニックは上?