ついにRCSが大阪で開催された。
関西の雄たちが待ち受ける本拠地大阪に、関東、東海、中国、四国、そして九州からトップライダーたちが集結。2013年9月8日のこの日、全国から集結した強豪たちによる熾烈な争いが、大阪市此花区の舞州スポーツアイランド特設会場で繰り広げられたのである。
舞州と書いて、「まいしま」と読む。舞洲スポーツアイランドは、大阪市此花区の舞洲にあるスポーツ施設群を有する公園で、かつてはここに夏季オリンピックの誘致活動を行っていた。敷地内には野外活動施設、野球場、運動広場、多目的ホール「舞洲アリーナ」などがある。
RCS第9戦OSAKAラウンドは、舞洲スポーツアイランド様や地元大阪市此花区様のサポートをいただくことで開催された。したがって大阪市此花区が地域のPRブースを出店、西原昇此花区長からRCS第9戦OSAKAラウンド開会の挨拶を頂く。
一方で、大会出場の選手たちに絶大な人気を博したのは、此花区のマスコットキャラクターの「このはちゃん」。とくに表彰式におけるメダル授与では、「このはちゃん」からメダルを受け取ると、選手たちは誇らし気に微笑むのだった。そりゃ、何といってもRCSの選手たちは、2歳から8歳の幼児であり児童なのだから、ユルキャラにメロメロになるのは当たり前。
同じく此花区から「住吉神社地車会」が、雨が降りしきる中で地車囃子を披露。場内をお囃子一色に染め、初秋の風情を醸し出してくれた。また、関西圏のランバイクの両巨頭、「サイクルパークトミー」と「自転車屋ビッちゃん」のトークショーが前夜祭で行なわれ、大会当日もブース出店でランニングバイクのメンテナンスをサポートしてくれた。
そして、舞洲スポーツアイランドの親会社が、スポーツメーカーとしても有名な「MIZUNO」ということもあり、ミズノ社製の子供用シューズ15足プレゼント。当日の表彰式では、舞洲スポーツアイランドの総支配人様がプレゼンターとして表彰式でのプレゼント授与も行なっていただいた。
こうしてRCS第9戦OSAKAラウンドは、開催地域の関係各位のご協力をいただき、大きな盛り上がりをみせながら熱戦の火ぶたを切ったのであった。
今回設定されたコースはスポーツアイランド特設会場で、キャンプ場内の車両通路を利用。したがってフルコースのレイアウトはもっともシンプルであり、だからこその超高速サーキットとなった。
もちろん2歳クラス決勝は、ショートカットコースを使用。ところがショートカットしたコースは舗装路ではなく、グリーングラス。午前8時には雨もあがるという天気予報はまったく外れ、予選が行なわれた当初の雨脚は決して弱まることはなかった。
芝目コースには昨夜からの雨がしみ込み、さらに練習走行や予選などで掘れた轍(わだち)やぬかるみができていた。そこをスタッフ総出で、砂利や砂を撒いて緊急補修。勝負どころとなるコの字カーブも、無事ショートコースの中程に設置することができ、レース展開にさらなる厚みを加えることができた。
こうしてコース整備も完了。頃あい良く雨も上がって、さあ、2歳クラスの決勝の開始となる。
ファンファーレとともに、スタート良く飛び出したのはいしかわ りゅうた選手(FIRST KIDS CHICHIBU)。
続いてたきがみ なつ選手(TEAM VIT)が1.5バイクの差で追う。
少し間が空いて3番手にきが ぜんた選手(LINO KEIKI)。
ショートカットコースに入ってもこの順位差はほとんど変わらず、コースはふたたび舗装路に戻る。そして最後までトップの座を譲らなかったりゅうた選手が、1位でゴールイン。2位にはたきがみ なつ選手(TEAM VIT)。そして3位はきが ぜんた選手(LINO KEIKI)と、スタート直後の順位のままのフィニッシュライン通過となった。
昨夜から降り続いていた雨も、2歳クラス決勝くらいから一度は止む素振りを見せはじめていた。コースが乾いてきたのだ。これはしめた! と誰もが思った矢先、無情の雨は3歳クラス決勝の直前から、ふたたびコース路面を激しく濡らしはじめたのである。
しかし、選手たちの熱い闘志は、そんな悪天候をものともしなかった。スタートファンファーレとともに、各選手とも火の玉となってコースへ飛び出していったのである。それはこのコースが超高速であり、一瞬でも足を止めればレースから脱落してしまうことを誰もが感じていたからだ。
ゴールまで走り切るタフな体力と気力。このコースにはそれが絶対必要であることを知っていた3歳のトップライダーたちは、スタートと同時に熾烈なトップ争いを展開。最初の緩い右100°角カーブまではほぼ横一線に並ぶ混戦模様が続いた。
勝負どころはやはり、ヘアピンカーブ。ここで抜け出したむらせ はると選手(HAPPY BiKE LOVERS)が、その先の右90°角コーナーで差をつけ、レースの主導権を握った。さらに左25Rの緩いコーナーから最終の長い直線にかけて、着実にレースを組み立てていった。
結局、2番手のねぎし こうせい選手(FIRST KIDS IZU)との差が縮まることなく、そのままトップでゴール。2位にはねぎし こうせい選手。
3位は熾烈な争いとなったが、おおき しん選手(GOLD☆DASH)がわだ おうすけ選手(TEAM VIT)とのデッドヒートを制して表彰台をゲットした。
ちなみに優勝したむらせ はると選手は、福岡県からのエントリー。関東、東海、関西だけでなく、他の地域にもまだまだ実力のある素晴らしいライダーが多く潜んでいると思うと、ランバイクの裾野の広さをあらためて感じさせられる。
午前中、運営スタッフや選手たちを悩ませていた雨も、午後には嘘のようにからりと晴れ渡る恰好のレース条件となった。
路面も乾いたところで、一斉にスタート。ヘアピン手前の右100°角カーブで1バイク抜け出ていたちだ ゆあん選手に、インから先頭を覗くすみの くうら選手。しかし次のヘアピンでインをとっていたゆあん選手がコーナーを制し、直後のダッシュでくうら選手に3バイクの差をつけて、右90°角コーナーを通過。次の左25Rの緩いコーナーを回ったところで、そのリードを保ちつつラストの長い直線に入る。
ところが、本当の勝負はこの先で待ち構えていた。左25Rの緩いコーナーまでまったくトップ争いに絡んでいなかった3番手のたかしま こうしろう選手が、長い直線に入ったところから追撃開始。それもツイン・ターボがかかったかのような圧倒的な加速力で、およそ7、8バイクほどあった間隔を一気に詰めていったのである。
ゴール前、飛び込んできた3選手に、惜しみない拍手がわき起こっていた。
優勝はちだ ゆあん選手(フリー)
2位がたかしま こうしろう選手(TEAM VIT)
3位にすみの くうら選手(LINO KEIKI)という順位となった。
右100°角カーブでインをとって半車輪の差をつけていたのは、もりやま ゆうき選手だった。その外側からかぶせるようにたかしま ぎんたろう選手が続く。
ところがこの位置どりだと、次のヘアピンカーブでは2番手のぎんたろう選手がインをとることになる。つまり明らかにぎんたろう選手のほうが有利な位置にいる、ということだ。
ヘアピンを抜けたとき、1バイクの差をつけてぎんたろう選手がトップを奪っていた。その後の左25Rの緩いコーナーを回ったところで、ぎんたろう選手のダッシュが開始される。最終直線で1位のぎんたろう選手と2番手のゆうき選手の差は5、6バイク離れ、ぎんたろう選手がゆうゆうとゴール。
優勝はたかしま ぎんたろう選手(TEAM VIT)。
2位にはそのままの順位でもりやま ゆうき選手(Team Kamikaze Kids)。
そして3位にはダンゴ状態から抜け出したまつやま かいじ選手(煌☆RIDERS)が入った。
ヘアピンへの突入は、しばた りく選手(SEALs)が1番手、続いてわだ そらり選手(TEAM VIT)の順だった。その後の右90°コーナーでは、およそ3バイクほどの差をつけて、有利なレース展開をしていたように見えた。
ところがその後の左25Rの緩いコーナーを回わるところで、このトップ2の差がみるみる縮まり、最終直線ではむしろ2番手だったそらり選手の加速が上回っていたのである。
そしてゴール直前、そらり選手がりく選手をかわして、見事にOPENクラスでの優勝を飾った。
2位は後半の失速が惜しまれるりく選手。
3位には最終直線でのダッシュが素晴らしかったあおき けんしょう選手(Ichi 2 Thunders)となった。
今回のレポートをお読みいただいて、多くの方はすでに気づかれていると思うが、一時期省略していた選手の所属チーム明記を復活させていただいた。もちろん、それには理由がある。『TEAM VIT』の2大会を並記した次の表をご覧いただきたい。
第8戦TOKAIラウンド『TEAM VIT』の参加選手順位 |
クラス | 順位 | 選手名 | ポイント |
2歳クラス | 4位 | たきがみ なつ | 23pt |
3歳クラス | 21位 | わだ おうすけ | 4pt |
4歳クラス | 11位 | たかしま こうしろう | 14pt |
5歳クラス | 3位 | たかしま ぎんたとう | 25pt |
OPENクラス | 7位 | わだ そらり | 18pt |
第9戦OSAKAラウンド『TEAM VIT』の参加選手順位 |
クラス | 順位 | 選手名 | ポイント |
2歳クラス | 2位 | たきがみ なつ | 27pt |
3歳クラス | 4位 | わだ おうすけ | 23pt |
4歳クラス | 2位 | たかしま こうしろう | 27pt |
5歳クラス | 優勝 | たかしま ぎんたろう | 30pt |
OPENクラス | 優勝 | わだ そらり | 30pt |
この二つの表を見比べて驚かされるのは、選手個々の驚異的な頑張りである。
まず3歳クラスにおいて、前回の第8戦TOKAIラウンドでは屈辱の21位だったわだ おうすけ選手が、今回の第9戦OSAKAラウンドは4位に大躍進する意地を見せてきた。
4歳クラスでは、前回11位と苦杯を舐めたたかしま こうしろう選手が、今回はゴール直前でのデッドヒートを演じ、優勝にも匹敵する値千金の第2位の頑張り。
OPENクラスでも前回7位だったわだ そらり選手が、今回は見事に優勝を飾った。このクラスでのGirl優勝は初めての快挙だったと記憶する。
選手も頑張れば、チームを支えるお父さん、お母さんたちの頑張りも凄い。
『TEAM VIT』の本拠地は、東海・関西圏である。ご承知のようにRCSは、第1戦HINOHARAラウンドから第7戦のCHIBAラウンドまで、すべてが関東圏域での開催だった。そのすべてのラウンドに、『TEAM VIT』は東海・関西圏からエントリーしてきたのである。
さらに前回の第8戦TOKAIラウンド、今回の第9戦OSAKAラウンドに参加し、その結果、第9戦終了時点で『TEAM VIT』のチームポイントが909ptと跳ね上がったのだった。これは、2番手のアッチェレランド(千葉県)の677ptを大きく上回る数字である。
第9戦で909ptということは、単純計算で1大会101ptづつを挙げていることになる。
言うまでもないことだが、『TEAM VIT』からのエントリーは表に挙げた選手だけではない。紙面上の余裕がなく全員の紹介はできないが、909ptはまさに選手全員で積み上げた数字であり、チームとしての驚異的な頑張りの上に積み重ねられた結果であろう。
選手はランバイクを通して心技体を鍛え、チームは彼らが成育するための環境を整える。そんな素晴らしい関係が、レースを1戦づつクリアしていくなかでより熟成されていく。
そしてこの関係こそが、『TEAM VIT』と選手たちによって織られ、「絆」という錦絵となっていくに違いない。