「次のYOKOHAMAラウンドも頑張ります。その次、富士スピードウェイも、優勝します」
▲RCS第4戦5歳クラス表彰式でのしげむら しせ選手
前回TAMAラウンドで表彰台のトップに立った、しげむら しせ選手のウィニングスピーチだ。このときしせ選手はすでに、OPENにクラスアップしたラウンドでの勝利を宣言していたのだった。
しせ選手は次戦YOKOHAMAラウンドでは、誕生日を迎えて6歳となっている。R.C.Sの規定では誕生日を境にして、ひとつ上の年齢クラスにステップアップすることになっており、しせ選手はそのことを見越した上で、あえて勝利宣言を行なったのだった。
▲RCS第4戦OPENクラス表彰式の入賞選手たち
その宣言を受け、手ぐすね引いて待ち構えるのは、現OPENクラスの勇士たちである。現在99ptでシリーズランキング1位のとべ はやと選手、94ptで2位のおぎの ひろゆき選手、3位しらがき ゆうま選手85pt、そして前大会で完走して一回りタフになったしばの あかり選手が84pt で4位に続く。さらに前回TAMAラウンドのウィナーしばた りく選手も、返り討ちを狙っている。
▲RCSライダーズリザルトO-2006年の部1位のとべ はやと選手
と、ここまで書いていて、どうもOPENクラスの場合は勝手がちがうことに気付いた。それは前回の特集で書いた「早生まれ組み、遅生まれ組み」といった色分けが、このOPENクラスにはないということなのである。
分りやすく言えば、6歳になった瞬間から8歳の誕生日を迎えるまで、生まれ月どころか年齢的なハンデキャップもこのOPENクラスには存在しないのである。まさに掛け値なしの「がちんこバトル」が展開されるクラスなのだ。
▲RCS第4戦OPENクラス優勝のしばた りく選手
迫力も半端じゃない! 超重量級なのである。重量級とはいっても体重のことではなく、エネルギー量のことだ。
6歳から8歳といえば、幼児から少年・少女へクラスアップする年代。つまり質実ともに、いよいよバランスのとれた身体ができ上がろうとする時期であり、エネルギー量もパワフルなポテンシャルを潜在させているはずなのだ。
▲RCS第4戦OPENクラス準優勝のおぎの ひろゆき選手
ところがこのOPENクラスに関しては未だ、エネルギー全開に達していないようだ。それは、我国におけるランバイクの歴史にも大いに関係してくることであろう。
ランバイクという名詞が一般的に聞かれるようになったのは、この1、2年のことである。ましてやこのような大掛かりな大会が各地で開催されるようになって、未だ日は浅い。R.C.Sの第1回HINOHARAラウンドでさえ、今年の1月からなのである。
ということは、このランバイクにおいて2、3、4、5歳の各クラスとOPENクラスの各選手のキャリアは、ほぼ同じということなのだ。しかもこれまで、どちらかというとレースの注目度は2、3、4、5歳クラスに傾いていて、OPENクラスの選手は弟や妹の応援に来て、ついでにレースにエントリーするというケースさえあったようだ ▲RCS第4戦OPENクラス3位のふじもとこうき選手
それがR.C.S大会ラウンドも、5回を迎えるようになって様相が変わってきた。これまでがちんこバトルを展開していた5歳クラスの強者たちが、続々OPENクラスにアップしていたのである。
▲RCS第2戦5歳クラス優勝のあんどう りくと選手
まず、4月にOPENクラスにステージアップしていたのはあんどう りくと選手。シリーズポイントでも「2007年の部」で80ptをゲットしていて、堂々の3位につけている。第4戦TAMAラウンドこそ不参加だったものの、実力的には現役OPENクラス選手たちに一歩も引けを取らない強者。
またたかはし りょうた選手も「2007年の部」でのシリーズポイントが58ptと、これまた第4戦が不参加だったにもかかわらず、高得点を獲得している。われわれの記憶に新しいのは、第2戦AKIRUNOラウンドでのりょうた選手の快走だ。OPENクラスでも稲妻のような彼の走りが、また観られることを期待している。
そこにあらたに加わるのが、かつて5歳クラスで覇を競っていたライバルたち。
「次のYOKOHAMAラウンドも頑張ります。その次、富士スピードウェイも、優勝します」
と前回TAMAラウンドでウィニングスピーチしたしげむら しせ選手はその宣言通り、OPENクラスでの勝利を睨む。
さらに彼の視線は、後から続いてクラスアップしてくるもりやま ゆうき選手、3位のもとはし ちから選手に向けても、
「ステージを変えてバトルしようぜ」
と、意欲を燃やすのだった。
さあ、負けていられないのが現OPENクラスの勇士たち…と、ここで話は最初に戻る。
幼児から少年・少女へと変身したOPENクラスの選手たちが、真向からぶつかり合うレースの醍醐味。これを唯一味わえるクラスとして設定されているのがOPENクラスなのである。
これは観る側も、そうとう気合いをこめないと……。